喉を痛めない発声

ボイストレーナーのJUNです。

話しているとき、あるいは歌っているとき、喉が痛くなる事がある方に向けて、原因と解決法を書いてみたいと思います。

原因はさまざま

結論から言ってしまうと、原因は人それぞれなので、何か1つを解決すればオッケーとはいかないことは予想がつくかと思います。

原因をみつけ、その人に合った解決策を適切な形で取り組んで頂くためにボイストレーナーがいるわけですね。

ですが、ここでは1人でも取り組めそうな方法をいくつか紹介していきたいと思います。

まず喉が痛むのは、少なくとも声帯が健全に働いてくれていない事は確かだと思います。

本来は話す時も歌う時も、声帯が閉じるための力さえ働いてくれればそれ以上の力は必要ありません。

しかし、喉を痛めてしまう発声では、脳が声を出す時の筋肉の使い方を違う形で司令してしまっている事に原因があると思います。

そのため、声帯が健全に仕事をしてくれる良いクセづけをしていく事が大切です。

チェックポイント

その1 身体に過度な緊張があるかどうか

まず、身体の緊張が強いかどうかも関係します。首や肩、胸などに過度な緊張がある場合は、マッサージや鍼灸で緊張を弛めるのも手だと思います。

その2 姿勢に問題はないか

声を自由に使うために重要な部位として、舌骨という骨が喉仏の上にあります。

この骨は人体の中でも唯一、他の骨と関節で繋がっていない骨で、身体の中で浮かんでいます。

この舌骨は四方に延びる筋肉で吊られていますが、この吊られているバランスが声の安定にも左右されます。

この事はまた、詳しく掘り下げますが、今回はこのバランスの鍵となるのは姿勢だという事だけ伝えておきます。

例えば顎がしゃくれるような姿勢だと舌骨を吊る筋肉のバランスが崩れ声帯の機能を弱める可能性があります。

その3 腹筋を固めて力んで声をだしていないか

声帯の役割は、食べ物が気管に入らないようにするための蓋の役割、重いものを持ち上げたりする時に、身体の内側の圧力を一定に保ち力を出しやすいようにするために息を止める役割などがあります。

そして会話のための声を発する役割と歌うことです。

ジムなどのトレーニングで力む習慣がある方は注意が必要です。

ジムでのトレーニングが声に悪いわけではないですが、喉に過剰な負荷をかける危険はゼロではないと思います。

また、しっかりお腹から声を出そうと思って、腹筋に過度な力を入れて固めるのも喉の健全な働きを阻害する恐れがあります。

そう言った習慣がある場合は、先ずはお腹を固めるのをやめてみると良いと思います。

声帯が機能すると腹筋を固めなくても声は鳴ってくれます。

声の機能を回復させる

声の種類

人間の声の種類は、男女ともに地声と裏声の2種類しかありません。

歌唱の際は、地声を限りなく裏声のように出したり、裏声を限りなく地声のように出したりする事はできます。

そのため、体感として裏声のように感じていても地声の筋肉が働いていたり、という事はあるため、感じ方の違いから、この声は地声なのか裏声なのか、といった混乱も生まれる事はある思います。

この地声と裏声それぞれを別々に独立して出せるかが、声の健康を保つ上で大切になります。

地声と裏声の境目がわからなく、裏声だけで出そうとすると力まないと出せないという人は、地声と裏声が入り混じっていて、こんがらがってしまい、大きな声が出しにくい場合があります。

裏声をベースにすること

先ずは裏声が出るかどうかが、どんなタイプの声にも大切です。

出る場合は力みなく出せるかどうか。

出せる人は『fu 』とか『wo』と言った言葉で出しやすい高さで出してみてください。

それが難しい人は裏声で『fo fo fo』と連続して出す練習をしてください。

その時に下唇を噛んで頬を膨らましながら出すのがポイントです。

どうしても裏声が出ない人

明石家さんまさんのように、息を吸いながら引き笑いをしてみてください。

やっていくうちに裏声っぽい引き笑いが出来たら、普通に息を吐きながら裏声を出してみてください。

裏声が上手く出せない人にはかなり効果があります。

地声を出す練習をする

地声は大きく2つの練習があります。

平べったい声とこもった声の2種類です。

平べったい声

女性なら黒柳徹子さん、男性なら志村けんさんのひとみ婆さん、またはアニメの平べったい声のキャラクターをイメージして声を出します。

これは声帯を薄く使うので、多少力みはあっても声の柔軟性を出すうえでは効果があります。

こもった声

こもってる、もしくは太めとイメージしても良いですが、野原しんのすけがわかりやすいと思います。

これらのような声で何か話したり歌ったりしてみると良いと思います。

先ずは出しやすい高さで良いと思います。

裏声と地声どっちも大事

裏声と地声それぞれを分けて練習することと、地声は2種類の出し方で刺激すること、それらを偏りなく行うと声の身動きが取りやすくなると思います。

長時間話しても声を疲れさせにくくするために

声はずっと同じ高さで話し続けると消耗しやすくなるといわれていて、話している途中で時々高さを少し変えると良いそうです。

しかし、声に柔軟性がないとそれはできません。

そう言った意味でも、地声と裏声の練習は効果を発揮します。

よくあるのが、高い声に向かって声帯をしっかり閉じて厚い声のまま、息もしっかり吐いて声を出す事で声に負担がかかり過ぎるという事です。

これではコントロールの効かない叫び声にしかならないでしょう。

地声の厚さをなだらかな山の三角形でとらえ、高い音に向かうに連れて、その三角形がとんがっていくように声帯を薄く使えるようにしていきます。

そのためには息を少なく声を細くしていく事がポイントです。

そうすると負担の少ない声になります。

例えばドミソミドと音階を歌うとするならば、ドは分厚めでもソに向かって息を少なく細くしていく感じです。

こういったシンプルな音階でもそういう意識で取り組むととても効果があります。

歌わないひとでもこの練習は話すときの声の出しやすさに繋がると思います。

初めは心もとない感じですが、段々と薄いままで閉じる事に慣れてくると、しっかり閉じられるようになり、声も鳴ってきます。この薄くしていくのが、平べったい声の練習です。

薄く細くを意識しすぎて、声がフラフラする感じの場合は、演劇のような少し立派な声で、ハッハッハ!と笑う練習を取り入れると張りやすくなります。

今回紹介した内容は、効果を補償するものではありませんので、お一人で行う時は体調にも気をつけ無理の無い範囲で行ってみてください。

お一人で行き詰まったら、ぜひレッスンでお手伝い致します。

ボイストレーナー JUN

声に何度も泣かされた過去を持ち
生徒と心から歌う喜びを共有する日々

大手の音楽教室で講師経験後に独立。
入会率と継続率の高い優秀講師としてレッスン手法をセミナーで紹介される。
中学・高校の音楽科教員の経験からレッスンのわかりやすさというところでの評価を受けている。
これまでに、現役シンガー、ボイストレーナー、音大生(音大入試)、オーディション対策など、数多くの人数を指導。また企業からの依頼を受けアーティスト育成も行っている。

レッスンしてきたことのあるジャンル:
J-POP・洋楽・PopRock・ミュージカル・
Classic・民謡(発声指導のみ)

東京都言語聴覚士会準会員・中学高等学校音楽科一種免許保有
修了講義:”Belting &Effect” ”Motor Lerning Theory in Vocaltraning” “Classical Singing” “Collaborative work with Vocal coach and SLP”

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