ボイストレーナーとは

ボイストレーナーのJUNです。

今回は、ボイストレーナーはどんなスキルを身につけていて、どんな事をレッスンで行っているか、書いてみたいと思います。

ボイストレーナーを目指すきっかけ

世の中にいるボイストレーナーは何がきっかけでその職に就くようになるのか。

目指そうと思うに至った経緯は様々だと思いますが、歌手を目指していた人がボイストレーナーにシフトした、或いは歌手活動をしながら、並行してレッスンを行っている、という人がほとんどではないかと思います。

私自身は、10代の頃はオペラ歌手になることを目標にしていました。

それよりもさらにさかのぼると、小学校の頃には音楽の道に進めたらと何となく思っていたため、先ずはピアノが弾けた方がいいと思い、中学に入るころ、親にお願いしてピアノを習いはじめました。

そしたら、ピアノを弾くことが楽しくなってしまい、高校に入る頃にはピアノで音楽大学の受験も考えていました。

でも、これでは仕事にならないと気づき、大好きなピアノは自分の中の楽しみとして大切にして、それよりも憧れていた声楽の勉強を本気でやろうと決めました。

そんなわけで音楽大学に入り、楽譜は読めて、ピアノも弾けて、そしてなぜかいつ使うかもしれない様々な音源や資料の収集にも力を入れ、コンサートにも頻繁に足を運び耳も育てました。

実際、それが役に立ってしまったので不思議な気もしながら心のどこかではボイストレーナーになることを考えていたのかもしれないと思います。

教えるということ

20代も半ばに差し掛かったころ、中高一貫の学校で音楽を教えないかとお話しを頂きました。

それまでは小さい子にピアノを教えたりママさんコーラスを指導する程度の経験しかなかったわけで、そこから教える事について真剣に向き合いはじめました。

今振り返ると自分でもビックリするくらい不器用だったわけで、色々未熟だったころの生徒には申し訳ない気持ちにもなります。

当たり前のように聞こえるかもしれませんが教えることは、自分が知識として引き出しを持っていれば良いわけではないことを学びました。

教員をしている中で、学校の生徒から音大を目指したいという子が現れ、その時に自分自身もプライベートレッスンをはじめる時期かもしれないと思い、そこからボイストレーナー人生がスタートしました。

なのでボイトレのはじめての生徒は音大受験生でした。

ボイストレーニングの受講者は義務教育ではないので、生徒それぞれの人生の中でどんな目的でレッスンに通われてるか理解をして寄り添う事が必要になってきます。

それまではマンツーマンのレッスンを行うのは難しいと思っていて、もしするとしても教員の仕事でもっとスキルを磨かなくてはと思っていました。

私の場合は結果的にそれで良かったと思っています。

必要なスキル

ボイストレーナーになるまでに、どんな経験を経てきたかでレッスンの内容は当然変わってきます。

音楽の基礎的な知識はもちろん、レッスン中にフレーズを細かく取り出して練習する時には、楽譜が読めて、ピアノが弾けるかどうか、或いはそれに変わる効率の良いレッスンの進め方をスキルとして持っているかもレッスンの質に関わって来ます。

そして、大切なことは自分が教わってきたこと、出来ていることを共有するだけではレッスンは出来ないということです。

自分と同じタイプの声や特性を持った生徒には当てはまっても、それ以外の人には合わない。

それが『この先生は合う』『この先生は合わない』といった事となり、先生探しで放浪する学習者が現れる原因となります。

様々な相手を想定した無数のプロセスを持ち、相手にとって必要なタイミングで与える事が出来ると、どんな生徒でも導くことが可能なトレーナーとなります。

優秀なトレーナーは基本的に下に挙げるスキルは最低限は持っていると思います。

•ピアノかギターが弾ける

•譜面が読める

•語学がある程度できる

•発声が治せる(当たり前!)

•歌唱指導ができる(発声メインの場合は不用な場合も)

重要なのはHow to

歌は身体が楽器とも言われますが、発声に関しては、身体の内側の目には見えない部分についてトレーニングする難しさがあります。

そのため、発声のメカニズムに関する知識が必要になります。

しかし、発声に関するメカニズムを理論として理解しているだけでは、レッスンでトレーニングができません。

よく解剖学を学びました、音声学を学びましたと謳うトレーナーもいますが、そのことによってどのようにその理想の発声を実現させるのか、生徒にとって必要なタイミングで適切な技術課題を与えられるかは別の話しになってきますし、それがトレーナーの仕事になります。

生徒の発声の課題を聴き分けられる耳と、問題に対する解決法をメソッドとして持っている必要があります。

さらに、生徒の声の課題は千差万別で、1人の生徒でもその時々の状況によって課題が変わってくる難しさもあります。

知ってると出来るは違う

最も大切だと思う事があります。

それは、ボイストレーナー自身が、自身の声でテクニックを体現出来ているかどうかという事です。

理論やメソッドは理にかなっている。

しかし、トレーナー自身がそれを声で示す事が出来るかどうか。

理詰めでメソッドの知識も豊富にも関わらず、トレーナー自らが再現できない

これではトレーナーが正しく理解しているか疑わしくなります。

目的に寄り添える力

ボイストレーナーは発声に関する専門家である事は当然ですが、ジャンルに合った歌い方を理解している事も重要です。

発声を教えずに、ジャンルにあった歌い回し、スタイルを教える専門のボーカルコーチも存在します。

レッスンを受ける上で、どちらを望まれているかでレッスン内容も変わってきます。

趣味で楽しく歌えるようになりたい、と思う方は発声と表現、その両方を望まれると思います。

ストイックに発声を突き詰めていったとしても、それは音楽の要求に応えるスキルのためであり、最後に行き着くところは歌う楽しさ、表現する面白さを感じて、自分らしさを引き出していける事だと思います。

技術より大事なこと

レッスンそのものがエンターテインメントとして、楽しい時間となれる事は、趣味として習う上で大切だと思います。

何をもって楽しいかは、これも人それぞれなので一概には言えない事ですね。

その上で、ボイストレーナーはレッスンの時に生徒の体調やメンタルの状態をキャッチして、一方的にならないようにしていくコミュニケーションスキルも求められると思います。

ボイストレーナーの判断ミス、経験不足、或いは思い込みによって、満足度の低いレッスンになる事は避けて行きたいところです。

それは、レッスンの経験年数や人数も関係あるかもしれませんが、1番はボイストレーナーの心のあり方にかかってくると思います。

ボイストレーナー JUN

声に何度も泣かされた過去を持ち
生徒と心から歌う喜びを共有する日々

大手の音楽教室で講師経験後に独立。
入会率と継続率の高い優秀講師としてレッスン手法をセミナーで紹介される。
中学・高校の音楽科教員の経験からレッスンのわかりやすさというところでの評価を受けている。
これまでに、現役シンガー、ボイストレーナー、音大生(音大入試)、オーディション対策など、数多くの人数を指導。また企業からの依頼を受けアーティスト育成も行っている。

レッスンしてきたことのあるジャンル:
J-POP・洋楽・PopRock・ミュージカル・
Classic・民謡(発声指導のみ)

東京都言語聴覚士会準会員・中学高等学校音楽科一種免許保有
修了講義:”Belting &Effect” ”Motor Lerning Theory in Vocaltraning” “Classical Singing” “Collaborative work with Vocal coach and SLP”

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