ボイストレーナーのJUNです。
私自身のリアルな経験を含めて記事にしてみました。
少しでも参考となれば嬉しいです。
目次
ボイトレとはどういう意味か
ボイストレーニングは大きく2つに分けることができます。
声の出し方をトレーニングすることと、歌い方(その曲にあった歌い方など音楽的な表現方法)をトレーニングすることができます。
どちらが必要かは人によって違いますが、それを確認するためにボイトレを受けることもできます。
ボイストレーナーの多くは歌い方を教えることが得意ですが、当スクールのように音声学や解剖学を基にしたメソッドにより声の出し方をトレーニングできる人も一定数います。
ボイトレするとどうなる
ボイトレは発声器官のバランスの悪い部分を整えていくことが大きな目的です。
例えば高音を張り上げてしか歌えない、急に裏返ってしまう、息っぽくて声が通らない、など声で困っていることに対して、トレーニングを通して改善していくことができます。
その上で、表現が何かわからない、とか、何を歌っても同じになってしまう、といったことに対しても、解決していくことができます。
そういった心配がない人でも、声を疲れにくくさせる、あるいは声を使い過ぎたので整えたい、といったことに対しても、対応できます。
また、話し声が通らない、出しにくい、といった事の改善で、日常生活の質を上げることもできます。
どれくらいの期間で効果が出るか
私自身の経験では月2回のレッスンでエクササイズは2週間に一回更新していったので、初めはやりにくく感じたエクササイズが次のレッスンまでにストレスなく、あるいはそのエクササイズの狙いにあったようにできるようになってきたら効果が出ていると感じていました。
私の場合は、まず張り上げて歌うことをやめ(初めの半年くらい)、ミックスの感覚をまず掴む(初めて1年目くらい)ことからスタートしました。
そして音域が急速に広がり、その後に、音域全体の質を底上げしていく作業に移行していきました。
途中で中音域が不安定になったり(初めて1年半くらい目)、声の暗さがなかなか取れない(オペラっぽい声が2年目くらいでもあった印象)時期もありましたが、バランスを整える作業を繰り返すうちにそういったことがなくなってきました。
大体3年を過ぎたあたりで、ポップス歌唱と言える発声と表現ができるようになってきました。
その後、ハリウット式とは別のメソッドで、ミュージカルや声楽の発声を取り入れて、発声の幅を広げていきました。
歌唱は様々な表現のスタイルがありますが、ミックスボイスを身につけておくと、様々な歌唱へ幅を広げやすくなります。
ミックスのクリーンな歌い方だけでは物足りないと感じるのも事実あるかなと思います。
そこはそれぞれで求める方向を選択していけると良いですよね。
練習頻度、レッスン頻度、練習内容
音大時代は毎週レッスンに通って、何時間も練習をしていました。
初歩の段階では毎週レッスンは良いかもしれませんが、学生のように時間がある場合でないと実際には難しいかもしれませんね。
ミックスを習得するために通ったハリウット式メソッドのトレーニングでは、月2回レッスンに通っていましたが、着実に上達する頻度としては良かったと思います。
日々の自主練習はエクササイズが20分程度で、曲を歌う練習が1時間から1時間30分程度で、2時間は超えないようにしています。
エクササイズだけの日もありましたし、調子が悪い日は歌わなかったりもしましたが、ほぼ毎日練習していました。
現在も変わらずです。
私は声が太く声の立ち上がりに時間がかかるので、朝のうちに軽くエクササイズを行って、昼過ぎから夜までのどこかの合間で、再度エクササイズもしくは練習をしています。
練習は隙間時間を有効に使うと継続できます。
自宅でも、スタジオでも声を出せる環境があることが大事です。
歌の練習は、目的を決めておくと短時間でも効果的です。
小さな目的としては、一つのフレーズの練習のみ、
大きな目的としては、曲全体の流れで行う練習、
ついつい沢山歌いたくなりますが、ちょっとでも目標に近づいて上手くいったと思ったらそれ以上深掘りせずに止めておく方が良かったりします。
スポーツで筋疲労したまま運動をすると誤ったフォームの癖がついたり怪我をするのと同じです。
翌日に続きを練習しよう、というイメージで良いです。
そうすると、一回の時間は短くても、毎日継続ができるので、日々の声の変化も受け入れやすく自由に練習を組めます。
お金はいくらかかったか
今まで受けたレッスン代の総額を思いつく限りざっと計算すると400万円くらいかかっていました笑
高いか安いかわかりません。
レッスン代は1レッスン当たり、7000千円から15000円の先生まで幅広かったです。
それに加えて、音大の学費、ピアノのレッスン、各種講座、専門書などの購入など・・・含めると2千万円は超えるのかなと思います。
ただ、私の場合は遠回りしてしまったので、実際はそんなにお金をかける必要はないと思います。
私自身は、今ボイストレーナーとして、それらの経験が全て役に立っているので、無駄とは思っていません。
声楽からポップスへの移行と発声障害/マイナスからのスタート
高校時代から声楽を習い始め、大学に入って発声障害となり、大学を卒業した後に、ポップスを歌うようになります。
私の場合は、大学卒業後に声楽的な歌い方をポップス的な歌い方にしていくことと、発声障害を克服していく課題の2つが同時進行で取り組みました。
そもそも、声楽的な歌い方に発声障害の原因があったので、声楽発声そのものが間違っていましたが・・・。
音大を卒業して数年は様々な声楽の先生を渡りあるくも根本解決にはならず、兼ねてから興味のあったポップスへ移行したくてハリウットメソッドによりゼロからというかマイナスからのトレーニングをスタートしました。
ハリウッド式はポップスに特化しているわけではないですが、いわゆるミックスボイスの習得には効果的なメソッドで、私の声はミックスの習得過程でバランスが良くなって解決していきました。
私に合っていたのは、トレーニング内容が明快で単純化されていたことです。
反復するだけで声が変化して積み上がっていくというのは、声楽のレッスンではなかったことです。
声楽のレッスンでは、厳格にスタイル化された発声で(指導者が正しい指導をしていたかどうかという問題もありますが…)かつ始めから理想を求めるため、自分の現状の能力からかけ離れた声を追い求め、声を出す時も色々考えすぎてしまい、最終的にはどうやって声を出していいかがわからなくなりました。
大好きな歌が歌えない苦しさ・・・その時のことを思い出すと今でも悲しい気持ちになります。
ハリウットメソッドのトレーニングを受け始めた頃は、声はどうにもならないような状態で、もはや捨てるものは何もないくらいだったので、教わるがまま取り組んでいきました。
トレーニングを受けて行くなかで、とにかく年々声が自由になっていくことが本当に幸せで、大袈裟でなく生きているうちに原因と解決がわかって良かったと今でも思います。
その上で、全身から見て身体の運動機能を高めていくことにより、発声障害に関しては症状がゼロになっていきました。
発声障害の症状をゼロにしていくことは至難の事と考えられています。
それでも、適切なトレーニングで、自由に歌うことが可能になりました。
私自身はトップレベルの歌手になるような恵まれた声とは思いませんが、今では自分の声に満足できるようになっています。
40歳を過ぎた今現在でも声が良い方向に変化し続けていて、まだまだ自分の声に可能性があることにワクワクしています。
初めから理想の声が出るとは限らない
レッスンを受けていても、変化したと思えないことがあります。
それは、トレーナー側が狙っていることと、受け手側がそれをどう感じているかにもよります。
生徒が目指す理想の声があったとして、1回のレッスンでそこに完璧に到達することは稀です。
なので、そのイメージと比較した場合に『上達していない』と感じることがあります。
少し考えるとわかりますが、段階を何段もすっ飛ばしていきなり理想の形を得るのはほぼ不可能に近いと言えます。
その心構えがあるだけでボイトレを有意義なものにしていくことができます。
後編へ続く