声を出すと詰まる感じ、閉まるように苦しい、震えるという悩みについて

ボイストレーナーのJUNです。

最近、話し声や歌声で、詰まるような感じ、閉まるような苦しさ、震えて出しにくい、あるいは声のことを四六時中考えて人との会話に支障が出ている、というお悩みのお問い合わせを頂くことが増えており、改めて人知れず悩まれている方が多くいることを実感しています。

考えれば考えるほど出しにくくなり、周りから『声どうしたの?』と心配する声をかけられると『やっぱり変ですよね?』と余計に落ち込んでしまい、気持ちの部分にも影響が出て悪循環におちいる方もいるのではないでしょうか。

実際の生活では、お仕事であったり、学校生活であったり、プライベートであっても、ほとんど多くの人は話すことでコミュケーションを取らなくてはならないので、その度に声のことを考えるのは大きなストレスでもあると思います。

私の体験

これまでもここのブログの記事で度々書いていると思いますが、私は19歳の時に初めて声の震えが出て衝撃的だったのを今でもよく覚えています。

なぜなら、音楽大学での初めての定期試験での歌唱でとても歌として成立しないような喉を誰かに掴まれたまま歌ったような声が出たからです。

自分をとても責めましたが、結局20代のうちは原因がわからずに過ごしました。

初めは人前で歌う時だけ出ていた症状が、普段歌う時にも現れ、最終的には日常会話でも震える場面が出るようになりました。

接客のアルバイトで注文が大きな声で上手く通せない、自分がお客側でも注文がしにくい、などといったことも出るようになっていました。

身体の使い方が悪いと思いひたすら筋トレをしたこともあり、それが悪化させる要因だったと知るのはずっと後ですが、声の状態が悪化するようなことを積み重ねていったんだと思います。

考えられた原因

私の場合の話となりますが、腹筋や背筋を中心に筋トレをかなり行っていました。

それは学生時代に習っていた先生からも鍛えなさいと言われ、レッスンでも筋トレをさせられ、本番で失敗するたびに鍛え方が足りないと言われ続けていたのも大きいです。

また、歌うときに呼吸や声を出す前の準備を考えながら歌っていたことで声を出す自然な動きを誤った形で身体が理解するように神経伝達が塗り替えられていったんだと思います。

これもまた、先生から一つ一つ準備をすることを言われ続けていました。

豊かな声を出すこと=声帯の働きに過剰に頼っていたので、必要以上に負荷をかけ声がとても重くなっていました。

本来声はバランスで成り立つものなので、声帯に過剰な働きをさせて声量を増幅させることは非常に危険で、回復力が早い30代前半でそれに気づけて勇気を持ってやめたことが不幸中の幸だと感じています。

出なければ声帯そのものを致命的に痛めていた可能性があります。

そして、学生時代の先生からは怒鳴られたりすることが日常で、感情を自然に出すことがどうしたら良いかわからないと感じることもあり、それが声を出す時にも不自然な状況を生んだ可能性があります。

また、深夜のバイトをして疲れながら歌っていたのも今考えると良くなかったと思います。

どうやって乗り越えたか

一時的に筋トレをやめました。

呼吸について考えることをやめました。

歌い出しや、話すときに発声について考えるのをやめました。

歌に関しては、クラシックの声楽はやはり特殊な歌唱なので、歌うことを一旦ほぼやめました(発声が変わって最近時々試すことはあります。)

話し声に近い音色で歌うポップスを中心に歌うようになり、音楽のノリに身を委ねるようになると歌うときや話すときの構えもなくなってきました。

一番は、そういったことを根底から整えるために、音声学を基にしたトレーニングを定期的に受け続けたことです。

はじめは発声障害のためのトレーニングではなく、ポップス歌唱にあった発声を身に付けたくて通い始めたのに、ついでに発声障害も改善されたといった感じでした。

いかに無理な発声を今までしてきたがよくわかります。

調子が良い時がチャンス

調子が悪い時ほどどうにかしようと思いがちですが、自分で調子が良いと思っているときも、悪くなる因があったりします。

なので、調子が良い時ほど、その底上げをしていくイメージで取り組んでくと、調子を崩した時の崩れ方が激しくなくなってきます。

声帯周辺のトレーニングも大切ですが、姿勢などを含めた身体の使い方を整えてあげること、食生活や睡眠、ストレスを溜めない生活も声にとって良い影響を与えます。

首や肩、背中の凝りがひどい場合は、鍼灸などで弛めたりすることも大切です。

身体が疲れ切っている時は症状が悪化しやすいです。

そうやってトータルで整えていくことが改善に確実に結びつきます。

2024年今現在

私は症状があったことを忘れその時の感覚を思い出せないぐらいにありますが、とはいえ発声自体の底上げをまだ続けているので、日々より楽になり続けています。

声を気にせずに笑い、コミュニケーションを楽しみ、仕事にも集中できるようになりたいですよね。

声帯が気になるようであれば耳鼻科を受診して、声帯そのものに腫瘍などの異常がなければ死ぬわけではないということと、

私の経験で言えば、必ず治ると確信しています。

その苦しみ、悲しみ、1人で抱え込まなくて大丈夫です。

あなたは何も悪くないし、逆にとても真面目で一生懸命なんだと思います。

そんな自分を認めてあげることも大切にしてくださいね。

それも声が自由になるために必要なことですから!!

ボイストレーナー JUN

声に何度も泣かされた過去を持ち
生徒と心から歌う喜びを共有する日々

大手の音楽教室で講師経験後に独立。
入会率と継続率の高い優秀講師としてレッスン手法をセミナーで紹介される。
中学・高校の音楽科教員の経験からレッスンのわかりやすさというところでの評価を受けている。
これまでに、現役シンガー、ボイストレーナー、音大生(音大入試)、オーディション対策など、数多くの人数を指導。また企業からの依頼を受けアーティスト育成も行っている。

レッスンしてきたことのあるジャンル:
J-POP・洋楽・PopRock・ミュージカル・
Classic・民謡(発声指導のみ)

東京都言語聴覚士会準会員・中学高等学校音楽科一種免許保有
修了講義:”Belting &Effect” ”Motor Lerning Theory in Vocaltraning” “Classical Singing” “Collaborative work with Vocal coach and SLP”

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