ボイストレーナーのJUNです。
高音が出せるようになりたい、あるいは柔らかい息っぽい声で歌いたい、はたまたガナリ声が出せるようになりたい、アニソンのような声質、など、近年の楽曲自体が高い歌唱力を求められるようになってきました。
なんとなく感覚で思った通りに歌えている人もいるかもしれませんが、多くの人はどうやって歌うの?と思うことが多いのではないかと思います。
今回は、自分の声を活かすことで、そういったことも叶えやすくするにはどうしたら良いかを書いていきます。
自分の声を知ろう
ボイトレは歌唱力を上げるために行いますが、『こんな風に歌いたい』と言うイメージがある場合、それを叶えるためのトレーニングを行なっていくことができます。
でも、いきなりそこを目指して上手くいく場合と、そうでない場合があります。
それは、やりたいことが自分の声の特徴に近いのか、そうでないのかによるからです。
パワフルに歌いたくてもその要素がないとか、柔らかく歌いたいのに大きい声でしか歌えない、といった場合にはある程度の時間がかかります。
イメージしていることに対して、自分の声の中にそれが実現できる要素を備えていると比較的時間をかけずに叶えることができます。
なので、ボイトレを行う場合は、まず自分の声の特性を知ることから始めると、長期的に見て声を活かしながら自分のイメージする歌唱に近づけていくことができます。
自分の声を活かそう
例えば、柔らかい声で歌いたいと思って、そういう声質を出す練習を続けていると、地声が出しにくくなる、といったことが起こる可能性があります。
地声が出しにくくなると、柔らかい声のまま高音で歌いたいのに、それを可能にする地声が働いていないことで苦しくなったり無理が出てくることがあります。
どうしたら良いかというと、自分自身の元々の声を活かせるようにしておくことです。
一見すると、ゴツい声に聞こえるような地声も、それを否定することなく上手く扱えるようにすることで、高音への柔らかさを安定的に身につけることができます。
また、パワフルな高音を出したいと思った時に、声を太く出そうとイメージしがちですが、それだと高音が苦しく叫び上げてしまう歌い方しかできないと言う風にもなるかもしれません。
そういった場合は、高音をパワフルに出せるサイズ感に声帯の働きを調整していく必要があります。
いわゆるミックスボイスですが、高音をパワフルに出す場合も柔らかいミックスボイスを身につけてからの方が、豊かかになります。
そうやってトータルで自分の声を見て整えていくことが最終的に自分の歌いたいような表現につながっていきます。
短時間で直ぐに出来るという落とし穴
ボイトレは、その場で効果が出ることも沢山あります。
しかし、その場で出来ることはある意味で奇跡の1回に過ぎないかもしれません。
奇跡の1回を何度も繰り返す必要があります。
つまり、継続的なトレーニングです。
継続することで段々と自分自身のスキルとして定着していきます。
その中で、自分の声の良さを発見しつつ、より魅力的な声へと進化を遂げていくこともできます。
1日10分でもコンスタントな発声練習を継続することで圧倒的に歌唱力が上がります。
理想は、ボイストレーナーが現状に合った発声メニューをレッスンの時に行うので、それを録音しておいて、自宅でそれを聴きながら反復して定着させ、レッスンのたびにメニューを更新していくことでステップアップしていけます。
自分の声の良さは自分では分かりにくい
自分のイメージする歌い方に対して、自分の声がかけ離れていることもあると思います。
本来の声が好きになれないと思う人もいるかもしれません。
でも、その本来の声が他の人から聴くととても魅力的に感じることだってあります。
それを発見することもボイトレの役割となります。
私が生徒のレッスンをしていて思うのは、レッスンを始めた頃は歌う時に本来の声を活かせていない、もったいないと感じる方が結構多いです。
柔らかい声に聴こえるけど、実はしっかりした地声が隠れていた、といったことがよくあります。
そして、そういった場合は歌い方に難を抱えていることがほとんどです。
今までにない声の出し方は自分の感覚にはない要素なので、実感がわかないこともありますが、継続的にトレーニングを続けることで変化をとげて、声の自由度が上がっているという方を何人も見ています。
自分の楽器をバランスよく使って上げることで鳴り方がよくなります。
そうすると、自分の好みでなかったとしても、とっても魅力的な声になるんです。
そういう声で歌えると声は自由なので、結果的には好みの歌い方も出来るようになります。
発声が正しくないと歌えないわけではない
ボイトレは長期的に取り組む場合が多いですが、ちょっとずつマイナーチェンジを行いながら、現状の歌い方も活かして進めていきます。
極端に発声が変わってしまうと逆に歌いにくくなってしまい、かえって困ることになりかねません。
その加減を調整しながら進めるので、日常的に歌い続けながら発声も整えていけます。
そもそも、発声が正しいから感動的な歌が歌えるとは限らないです。
でも、声が不自由よりは自由度が高い方が選択肢が増えますよね。
ボイトレは自分に合った発声を見つけて、自分自身の声を活かすことが最大の役割だと思っています。
声で困ったことの解決策を知りたい、あるいは自分の声の現状を知りたい、そのためにボイトレを一度受けてみるというのもいかがでしょうか。