声が裏返る原因と対策を紹介

ボイストレーナーのJUNです。

以前のブログで、中音域が安定しない原因と対策の一部を紹介しました。

歌の発声が安定しない(中音域編)

安定しない理由もいくつか種類がありますが、今回は声のひっくりがえりについて書いてみました。

低音と高音でガラッと出し方が変わってしまったり、大事なポイントでひっくり返るといったことが起こる人向けの内容です。

中音域で不安定になることとは少し違うかもしれませんが、ひっくり返りの悩みを抱えている人も多くいます。

高音でひっくり返ることももちろんありますが、それについてはまた別の機械に触れていきたいと思います。

中音域でひっくり返ってしまうことで困ることはかなりあると思います。

そういったことの原因と対策の考え方について触れていきます。

声の仕組みを確認

まず、簡単に声の仕組みについて確認していきます。

声は高くなる時に声帯が長くなります。

甲状軟骨(いわゆる喉仏)が高い声になると傾斜することによって中にある声帯が引っ張られて高い声が出ます。

甲状軟骨が倒れるのに伴って声帯はくっついたり離れたりを繰り返して声が出ますが、特定のところでいきなり閉じている声帯が離れてしまうとひっくり返りが起きます。

声帯がある喉頭は四方から筋肉で吊られたような状態になっていますが、喉を上に引き上げたり、引き下げたりでき、これが声帯の働きにも影響を与えています。

この上下運動のバランスが声のひっくり返りにも関係しています。

ひっくり返りの原因

理由はさまざまです。

元々の話し声が息っぽくひっくり返りやすい人

合唱などで喉頭を低くは保つ歌い方をしてきて、声帯が上手く働いていない人。

歌ったり喋ったりすることで長年かけて癖になってしまい、ひっくり返るのも怖いので舌骨とか噛む力を使ってもいいから瞬間的に固める癖がついてしまった人。

劇団やミュージカルの俳優さんなどは長い時間、本人のオリジナルの声でない偏りのある発声を続けることによって、その筋肉が発達して高音につながらないこともあります。

偏ったり固める癖をつけると声帯の伸張を促すことができなくなってミックスが強張って出にくくなると言うことです。

そうするとひっくり返りと押し上げがより強くなるという悪循環にもなってしまいます。

また、ひっくり返ってしまう原因の多くは骨格による喉の関節とか舌の緊張、普段の姿勢にもあります。

ひっくり返りやすい人の特徴として、はほとんどと言って良いくらい首が斜めに出ている姿勢の人が多いです。

姿勢が喉頭の上下運動をスムーズに行うことを妨げている要因の一つと考えられます。

これらのことから、環境的な要因によって起こる場合と、姿勢などの先天的なことが原因の場合が考えられます。

ひっくり返りやすい声の種類2タイプ

ひっくり返りやすい声の人は大きく2つのタイプに分けられます。

①地声が低く声が太い人

→かなり重い声の人

その上ではっきりと裏声も持っています。

そういう声の場合は地声と裏声それぞれに張力がなくて独立して困っている状態と言えます。

それぞれに独立した筋肉が手を繋いで引き合う力が弱いため、それらを改善していく必要があります。

地声と裏声をグラデーションのように柔軟性を出すトレーニングが克服へのアプローチとなります。

②低音は息っぽいタイプ

→女性に多いタイプです。

地声があまり強くなく、中音域で突然ひっくり返ってしまいます。

まず地声をしっかり出せるようにしてから引き伸ばすようなトレーニングを行います。

練習のコツとして①の場合は息を抑え、②の場合は声を出していった方が良い、という違いがあります。

ひっくり返り克服のコツ

ひっくり返るのは使うべき力が使えていないことがほとんどです。

上の音まで極力抜けないように頑張る練習が必要です。

筋力的な負荷は多少かけて行う必要があります。

その後にファルセットでリラックスもさせる練習を行います。

上手く出来ない大きさのところに声全体をサイズダウンして薄くして繋げるのが近道です。

そうしないと太りすぎた筋肉と発達してない筋肉がずっと闘うこととなります。

薄いけどなんとなく繋がっていると言うのがポイントです。

そして薄いのと声帯の働いていない息っぽいのは違います。

声帯が当たっている状態で薄くして筋バランスを統一させます。

比較的に簡単にできそうなこと

この説明だけでは難しいかもしれません。

克服するのに良いエクササイズはありますが、一人では分かりにくい難易度高めなものとなります。

ですが、できることが一つだけあります。

姿勢の見直しです。

まずはここから始めると変化が感じられます。

歌うときに首が前に出ていないか確認してみてください。

首が出ている場合は、首だけをまっすぐにしようとすると無理が出ますので、姿勢全体で整えるようするのがコツです。

反り腰気味になって構いませんので、背中や腰から姿勢を整えることで、首も真っ直ぐに収まるようにしていってみてください。

これだけでも声の出しやすさの変化に驚く方も多いです。

知れば『なんだ、そんなことか』と思うような事が長年の悩みの原因だったと言うこと、ボイトレではよくあります。

声の悩みの多くは(病名のつくような疾患でない限り)諦める必要はないと思います。

ほとんど多くは解決できます。

理想とする声に近づくことを試す価値は大いにあると思います。

おわりに

いかがでしたか。

今回はひっくりがえりについて取り上げてみました。

シンガーの中にはひっくり返して歌うことを表現として活かしていらっしゃる方もおり、声がひっくり返ること自体は悪いことではありませんが、歌唱で歌いにくい原因となるため、克服しておいた方が良いことが多いです。

独学では難しいですが、正しくトレーニングをすることで克服は充分可能です。

気になる方はお気軽にお問い合わせくださいね。

ボイストレーナー JUN

声に何度も泣かされた過去を持ち
生徒と心から歌う喜びを共有する日々

大手の音楽教室で講師経験後に独立。
入会率と継続率の高い優秀講師としてレッスン手法をセミナーで紹介される。
中学・高校の音楽科教員の経験からレッスンのわかりやすさというところでの評価を受けている。
これまでに、現役シンガー、ボイストレーナー、音大生(音大入試)、オーディション対策など、数多くの人数を指導。また企業からの依頼を受けアーティスト育成も行っている。

レッスンしてきたことのあるジャンル:
J-POP・洋楽・PopRock・ミュージカル・
Classic・民謡(発声指導のみ)

東京都言語聴覚士会準会員・中学高等学校音楽科一種免許保有
修了講義:”Belting &Effect” ”Motor Lerning Theory in Vocaltraning” “Classical Singing” “Collaborative work with Vocal coach and SLP”

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