ボイストレーナーのJUNです。
過去にボイトレに通っていて、レッスンがよくわからなかった、といった経験を持っている方は多くいると思います。
『頭に響かせて』
『声を集めて』
『前に出して』
などと言われた経験のある方もいると思います。
その感覚で声を出した結果、上手くいく場合は何も問題ありません。
実際にそれで上手くいく人もいると思います。
出来る人は共鳴を自在に調節することができる、あるいは声帯閉鎖が上手くできるからだといえます。
指導する本人もきっとその感覚で上手くできてしまうので、お互いにかみあっていると素晴らしい効果を発揮すると思います。
あなたはどっち?
指導者のレッスンが感覚的にわかりやすいと思う人がいる一方で感覚は人それぞれ違うため、指導者の感覚を上手くキャッチできず苦しむ人も多いと思います。
理論派と感覚派
あなたはどっちでしょうか。
これはネットで簡単に調べることができます。
手の組み方や腕の組み方で分かるようですので、興味のある方は検索してみてください。
インプットとアウトプットでそれぞれ違うという人もいると思います。
ちなみに筆者はインプットが感覚的でアウトプットが論理的なようです。
物事をイメージで捉え、論理立てて発信する傾向があります。
言われてみるとそんな気がします。
感覚は人によって違います。
それは素晴らしい個性でもあります。
表現者としてはとても大切なことです。
歌を歌う人は感覚を研ぎ澄ますことも大切ですが、発声技術や音楽理論などは論理立てて身につけることができる部分があります。
しかし、同じ課題内容でも人によって感覚的に捉えるほうが上手くいく人と、論理的に捉えたほうが上手くいく人もいます。
レッスンでは、それらを理解しているトレーナーに出会えれば互いにかみあいやすく幸せと言えます。
感覚的な指導のレッスンを受ける場合は、注意が必要な面もあります。
例えば、ご自身が声を息っぽく出す傾向の指導者は『しっかり支える』ことを大切にしているかもしれません。
叫ぶ傾向にある指導者は『リラックスする』ことを大切にしているかもしれません。
生徒が、同じ傾向であるならば問題ないですが違う場合はどうでしょう。
不幸なことが起きるかもしれません。
自身の経験と感覚から感じていることをそのまま全ての生徒に当てはめてしまう、という可能性があります。
自分に合うボイストレーナーを探すのが大変と感じている方の多くの原因がきっとここにあります。
それは筆者自身の経験でもあります。
遠い過去の話し
今はネットを検索すれば良い情報にも出会えますが、私が学生の時は歌のことや発声のことに関しての情報を手に入れる術がなくて、完成された一流のアーティストがインタビューなどで言う発言を参考にするのがやっと、あとは自分の先生の言う通りに一生懸命取り組むより他はなかったと言うのが実感です。
沢山の音楽には触れていて自分が何を良いと感じるか感覚を研ぎ澄ます努力はしていましたが、自分の歌声にどうやって体現させるかに関しては、ほぼ何も身につけずに学生時代が終わったような気がしています。
人生で最もお金がかかっていました・・・それでも身についたものはわずか。
なんということでしょう。
もちろん誰のせいでもありません。
と言いたいですが、そうとも言い切れない気がしています。
この経験が今の自分を作っているかもしれないから無駄ではない、と言うことにしておこうと思います。
しかし、出来ることなら遠回りは必要ないですよね。
不器用な人は不器用なりに身につけたスキルが逆に武器になることはあるかもしれません。
しかし、効率よく上達するならそれに越したことはなく、そのことによってどんどん次元を上げていけるわけです。
音楽に終わりはないので、なるべく早い段階で高音が出ないとか、ニュアンスが上手く出せないとかいったことから卒業して、発声に制限を感じず歌えるようになった方が、その先にある音楽を心から楽しむこと、表現することにより多くのエネルギーを注げるようになります。
もちろん、発声に多少の難があったとしても今ある声を最大限に活かして歌うこともできます。
いずれにせよ遠回りは必要ありませんね。
トレーニング出来ることと出来ないこと
話がそれたので戻します。
音楽的な能力は感覚的な面がもちろん多いです。
しかし、トレーニングにおいては論理的に解決できる面もあります。
いまいちノリが悪い、という場合はリズム練習を行う手順があります。
パンチのある声にしたい、あるいはソフトなささやき声にしたいという場合、技術的な訓練で解決できます。
一方で音楽をどう感じているか、というセンスの部分になると、これは訓練では難しくなってきます。
センスは、同じ練習をしても人によって結果が違うこところに現れます。
例えば、イチロー選手と同じ努力をしても、皆がイチロー選手と同じメジャーリーガーになれず、いくら優秀なコーチでも野球センスまでは教えられないと言われています。
骨格によって同じ練習でも結果が違うという面ももちろんありますが、練習をどう取り組むかという部分はセンスになってきます。
そのセンスは訓練で習得が難しいと考えられています。
音楽に関していえば、生きてきた中でどんな音楽に触れ、どんなふうに感じてきたかの蓄積によるところも大きいといえます。
才能あるアーティストの多くは、幼少期からあらゆる音楽に触れてきたバックボーンがあります。
センスは自ら磨いていくものであって教わるものではないと思ってて良いと思います。
触れてきたこと、経験してきたことによって、物事に対するキャッチの仕方は当然変わりますよね。
それが自分らしい魅力へと繋がっていきます。
自分のタイプを知って近道しよう
いかがでしたか。
自分はどんなタイプで、どんなことが足りなくて、どんなふうに努力すればいいか、そのヒントとなれば嬉しいです。
ちょっとしたことで、上達速度を爆上げさせていくことができるかもしれません。
音楽を心から好きであればこそ、自由な声で表現して楽しみたいですね。