歌の基礎について考えてみよう

ボイストレーナーのJUNです

今回は歌の基礎について考えてみたいと思います。

あなたが歌い方について意識し始めたきっかけはなんですか?

素晴らしいシンガーに感動して気になり出したり、自らの歌唱力を上げたいと思い始めてからという方が多いと思います。

私もその一人です。

では、歌唱力とは、基礎とは、一体なんでしょうか。

さぁ、一緒に考えてみましょう。

歌唱力とはいったい

歌唱力とは、一つの見方としては、

聴いてる人の心を掴むこと

曲の内容が伝わること

もしくは、

自分の思い通りに歌えること

といえます。

私たちが日頃耳にしている音楽は西洋のルールに基づいて作られてます。

つまり、ドレミファソラシドの音階です。

このドレミという呼び方は中世のイタリアの音楽教師のグイード•ダレッツォが発明したもので、キリスト教の教会のお祈りの歌の旋律がルーツになっています。

私たちは1000年ほど前に生まれたドレミファソラシドの音楽を今でも使ってるわけですね。

しかし、世界は広いです。

各地に様々な音楽があって、ドレミファソラシドの音階ではない音楽も沢山あります。

日本も例外ではないです。

西洋をルーツとした音楽は、日本の音楽教育のスタンダードになっている事から、ドレミファソラシドを歌う事は多くの人が出来ます。

つまり、ドレミファソラシドの音階による歌はほとんどの人が歌う事が出来るといえます。

では、高い歌唱力を持つ人は一体何が違うのでしょうか。

それは、発声、音程、リズム、発音といった事が研ぎ澄まされているかどうか、という事が基礎になってくると言えます。

優れた歌唱力を持つといわれる歌手は、正しいか間違っているか、というベクトルとは別に、これらの事に対しての感覚が鋭く、シンガー本人が意図的であれ、無自覚であれ、その基礎が個性にもなっています。

この基礎が身についているだけでも、かなり高い歌唱力という事になりますし、これが歌唱そのものを構成していると言えます。

なかでも、歌は声帯から音声が出せなくては成立しない事から、発声はかなり重要な要素である事は間違いありません。

逆に発声に問題がないのに、歌がいまいちの場合は、音程やリズム、発音を疑う必要があります。

基本的には音程やリズム、発音が正確なだけでも上手く聴こえます。

ですので、かなり大事です。

音程とリズム、発音は別の機会に詳しく触れるとして、ここでは発声に絞って深掘りします。

発声の基礎とは

まず、歌が上手く聴こえるには、声の安定感が必須なのはわかると思います。

この安定感というのは、どの高さも同じ音量や音色で出せるというのが指標になってきます。

その安定感を目指す上で、人それぞれの声の持つ特徴によって取り組む課題が変わってきます。

人類共通の要素としては、まず地声と裏声が適切な音域の範囲で問題なく出せるかどうか

地声と裏声の境い目に歌いにくさはないかどうか

この辺りがとても重要なポイントになります。

もちろん、裏声が出ないからダメということでもありません。

どんな歌を歌うかにもよります。

しかし、身体の生理的な働きに反する事なく健全な発声を行うという意味で理想的な考え方となってます。

それは、生涯にわたって歌い続ける上でも大切なことです。

重要なことは、基礎というのは、それを正しく身につける事が、あなたの個性をなくすものではありません。

もし、発声が完璧になったとして、そのことで個性がなくなるとするならば、それは発声よりも音楽的な能力やセンスが弱い可能性があります。

また、発声が正しければ、喉を壊さない範囲であえてアンバランスな発声にすることもできます。

世界的なシンガーの中で、さりげなくアンバランスにしてニュアンスをつくっていくような離れ技を聴くことも出来ます。

発声の基礎が正しく身につくと何が良いのか

発声が正しく身につく事の利点としては以下のことが考えられます。

•パワフルなのに疲れない
•歌ってて気持ちいい
•声が自由に出せる
•自分らしい魅力的な声になる

いい事しかありません。

まさにボイストレーニングが目指すところでもあります。

ジャンルによって歌唱スタイルの違い、発声で重視されることの違いがあるのは事実です。

しかし、私が大切にしたい考え方として、ちょっと遠回りのように思えたとしても、あなた本来の声をみつけ、育てていく事が基礎にあり、その基礎があらゆるジャンルにそのまま応用できるという事です。

基礎というのは、自分の本来の声を発見することでもあります。

基礎がしっかりしていればしているほど、ありのままで魅力的になります。

何を大切にして、どう練習するのか

トレーニングとしては、声を構成する3要素となる①息のバランス、②共鳴のバランス、③声帯のバランスを整える事です。

この3要素のバランスによって、様々なジャンルにあった歌い方へ整えて行く事もできます。

例えば歌のモノマネが上手な方はこのバランス調整に長けている人と言えます。

基礎は生涯にわたって取り組み続けていくもので、終わりはありません。

生涯にわたり基礎の精度を上げ続けていけますし、基礎を大切にしてると、声のバランスの乱れをキャッチする事や修正も早く出来ます。

なので、基礎は義務感で取り組むより、継続出来るような気軽さで向き合えるように、自分らしい取り組み方をみつける事が大切です。

地味な作業ですが、毎日取り組むと自分を見つめるような時間になります。気分や体調の影響も受けるでしょう。ちょっと大袈裟ですが人生を見つめる時間になります。

そんな風に、自分を発見するような楽しさを基礎から見出して、楽しく取り組めるといいですね。

ボイストレーナー JUN

声に何度も泣かされた過去を持ち
生徒と心から歌う喜びを共有する日々

大手の音楽教室で講師経験後に独立。
入会率と継続率の高い優秀講師としてレッスン手法をセミナーで紹介される。
中学・高校の音楽科教員の経験からレッスンのわかりやすさというところでの評価を受けている。
これまでに、現役シンガー、ボイストレーナー、音大生(音大入試)、オーディション対策など、数多くの人数を指導。また企業からの依頼を受けアーティスト育成も行っている。

レッスンしてきたことのあるジャンル:
J-POP・洋楽・PopRock・ミュージカル・
Classic・民謡(発声指導のみ)

東京都言語聴覚士会準会員・中学高等学校音楽科一種免許保有
修了講義:”Belting &Effect” ”Motor Lerning Theory in Vocaltraning” “Classical Singing” “Collaborative work with Vocal coach and SLP”

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