ボイストレーナーのJUNです。
今回は、発声を意識しすぎるあまり歌いにくくなってる可能性について記事にしました。
良い声で歌いたいという呪い
あなたは歌唱力をアップするには、どんな事を気をつけますか。
曲にあった歌い方、音程やリズムの取り方といったこと、そして発声についてだと思います。
この記事を読まれてる方もおそらく声に関して何かしらの情報を得たいと思ってると思います。
発声への関心が高いといえます。
発声練習では良くなったけど、曲にどうやって応用するのか、曲になるとまったく活かされない、なんてこともあるかもしれません。
それに関しては、過去の記事を参考にしてみてください
良い声で歌いたいとは、誰もが思います。
しかし、全て完璧に歌いたいと思うと、慎重になります。
すると、一声でも納得出来ないのは嫌だと思った結果、歌い出しが歌えなくなる事があります。
すると次第に歌い出しに対して苦手意識も強くなります。
発声や歌い方を意識した上で歌い出しが苦手な場合、考えすぎて逆に歌えなくなってることを疑った方がいいかもしれません。
『良い声で歌いたい』ってことにとらわれて逆に身動きが取れなくなる状態
歌いにくさの要因の1つとして考えられるのは、声を探る行為が、逆に声帯を合わせにくくしていることです。
予期せぬ状態
あなたは歌う前にイントロが鳴ってるあいだ、なにを考えているでしょうか
音楽にのれてれば、おそらく歌い出しに問題はないと思います。
一方で歌うぞ、歌うぞ…と大縄跳びで飛ぶ時のように入るかまえをとることも多いかもしれません。
歌い出しをスムーズに歌うという点だけで考えた場合、そのかまえがなく、日常会話のように、予期せぬタイミングで思わず声が出る感覚が良いです。
音楽にのってればそうなると思います。
その感覚を掴む練習として、自分で行うのは難しいかもしれませんが、例えば、なんの準備もせずにタイマー鳴った瞬間歌うとか、友達に後ろから、ランダムに手を叩いてもらい、叩かれたら歌うなどが、その感覚をつかみやすいかもしれません。
釣りの感覚
もうひとつは、歌い出しよりもワンテンポ早いタイミングで、歌い出しを身体で歌っておく感覚です。
釣り糸を遠くに垂らすように、実際に声を出すタイミングより前にイメージとして予め歌っておく感覚です。
オンタイムで歌おうとするのではなく、それよりも早く既に歌っている感覚でいることです。
すると、発声でかまえすぎてオンタイムに乗り遅れるという事もなく、スムーズに入りやすくなります。
探らないこと
これは、とても大切です。
先にも触れましたが、発声を探りながら歌う事は、声の不安定要因を自ら作る事になりかねません。
一旦、ブレスして歌い出したら、そのフレーズはいじらない方が安全な事があります。
探る事で声帯が合わせにくくなるからです。
発声に囚われてると感じるときは、出たとこ勝負の感覚を試してみると良いと思います。
無防備であること
予期せぬ状態とも重なりますが、気分が良くてつい口ずさむような気楽さ、友達や家族と喋ってる時のような無防備さは、曲を歌う時も大切な感覚です。
何気なく喋る延長に音をつけてみてください。
慣れるととても歌いやすいはずです。
もちろん、声楽曲などの質量が求められる場合もありますが、基本は同じところからの出発で良いと思います。
何故なら、息と共鳴、声帯のバランスが整えば、自ずと声に豊かさが増すからです。
もうひとつは、今回は触れませんが、質量は、言語とも関わってくると思います。
また、無防備である事は、人前で歌う行為そのものにとって大切です。
服を脱ぐような無防備さがあること。
それは、音楽や聴衆に心を開いている事でもあるからです。
そこに声の自由と音楽への感動があります。
音程やリズムに無責任になる
これは、適当に歌うという意味ではありません笑
それでは、曲が成立しませんよね。
音程やリズムに関しては、正確さを求めて、身体が不自由に感じる時は、一度その正確さを捨ててみてください。
むしろ、音程はサイレンのように自由に動かせるくらいにしてあげたほうがいいです。
そのあと、再び音程やリズムはめてみてください。
そして、譜面があるなら、一度ドレミの音名でカッチリ歌ってみます。
すると声帯が探る事をやめてくれるので、歌いやすくなります。
音程にたいして、無責任になる感覚と、とてもカッチリ歌う感覚で歌いにくさを整えます。
発声をトレーニングする事は、何か型にはめるというより、本来持ってる働きを引き出して声を自由にしてあげるものだという捉え方が大切かもしれません。
自分の声を信じて、その可能性を引き出して行きたいですね。