発声がスランプに陥ったら取り組みたいこと

ボイストレーナーのJUNです。

今回は、発声がスランプに陥った時の対処として出来る事を記事にしていきたいと思います。

今まで出来てた事が出来なくなる

ふだん歌っていて、順調な時はあまり考えないことですが、何かがきっかけで、今まで出来てた事が出来なくなる事があります。

それは、風邪などの体調不良がきっかけかもしれません。

忙しくて疲れが溜まってしまった事が原因かもしれません。

季節の変わり目でアレルギーが出た場合にも起こるかもしれません。

声はデリケートなもので、しかも楽器のようにしまっておく事も出来ないため、環境の変化に影響を受けやすくもあります。

そして、より良い歌唱力を目指して練習をしていれば、今までにない挑戦をする事もあります。

そういう時は声のバランスを崩すリスクもあり、それを覚悟して取り組むと思います。

バランスの崩し始めの些細な変化をキャッチ出来てれば、修正は直ぐできると思います。

しかし、些細な変化というのは、気づきにくいものです。

その積み重ねがクセになって、声のトラブルを起こす事もあります。

ボイトレはそれを修正していく目的もあります。

発声が完成されていたとしても、ボイトレを定期的に受けてチューニングしているシンガーがいるのもこのためです。

自分でわずかなズレを見つけるのが難しいからです。

しかし、ボイストレーナーに修正してもらえるから、崩しても良いというものでもありません。

日頃から、自分の声に対してアンテナを張り、自分で修正する力をある程度持っておけることは大切です。

自分でも発声を修正できるようにするには

大前提として毎日生活していれば、日によって体調が違うように、声も毎日一定しているとは限りません。

プロとして仕事するためには、一定のクウォリティを安定的に供給出来るという信頼度も必要になってきます。

そういった意味で、プロのシンガーは日々の声のブレ幅は狭く済むように管理する、もしくは、日によって違う声を修正する能力にも長けていると言えます。

いずれにしても、プロであれ、アマであれ、大なり小なり毎日声が一定して変わらずという事では無いという事は知っておく必要があります。

テクニックを身につける過程においては、出来るようになった事が、出来なくなり、また出来るようになり、を繰り返しながら、徐々にテクニックとして身について行くようになる、という感覚の人は多いと思います。

ですので、発声の基礎を身につけている段階では、きのう出来た事が今日は出来なくなった、という事で一喜一憂する必要はないと思います。

今回の記事では、安定して出来ていた事が、不安定になった場合について考えてみたいと思います。

原因として、発声意外のこと、体調面などで普段と違う状況など、思い当たる事があれば、先ずは、その事を解決する事が大切です。

練習している過程で新しい事を取り組みはじめて、崩す場合もあります。

その場合は、新しい曲を取り組む前に歌っていた曲を歌って、発声の感覚を思い出せるか、試してみます。

もし、思い出せるようだったら、いま取り組んでいる曲で発声のどこがズレたのかを検証できると、それが自身でリスクを回避するスキルになります。

新しい曲を歌うと崩してしまう場合、問題なく歌える曲と比較して何が違うか推測しながら、新しい曲に応用出来る事を考えていく事は大切です。

新しい曲とか関係なく、何を歌ってもうまくいかない場合は、過去に戻り、問題なく歌える曲までさかのぼっていきます。

過去に歌った特定の曲によって、高音が身についた、ミックスの練習が出来た、リズム感が身についた、など、きっかけとなった曲があると思います。

そういった曲は成功体験を思い出してくれます。

そして、何度も歌っている分、曲の音程やリズムなどを考えずに歌えるので、声に集中出来ます。

そういった曲の中で、不調になった原因と解決の手がかりを探していきます。

どうしても解決の糸口が見つからない時は、自分にとってなんでもない、簡単に思える曲までさかのぼって良いと思います。

発声練習は曲でも良い

日頃から発声の基準になる曲を持っておくことは日々の声のバロメーターを知る上で大切です。

発声練習といえば、音階を上がったり下がったりするヴォカリーズが多いと思いますが、曲を発声練習代わりにしてもいいと思います。

自分の声の良さが活かせて、何度も歌い続けているような曲がいいと思います。

そういった曲では、発声の変化に気づく事も出来るし、日々身につけたテクニックを活かして表現を磨く事も出来ます。

上手くいってる時は忘れること

発声が上手く機能してる時は発声の事をあまり意識する必要はないし、出来れば発声の事を考えずに歌える事が望ましいです。

そうすると、出来なかった事が出来るようになった過程も忘れてしまいがちで、上手くいってるときは何でもないような基礎にはあまり目を向けなくなります。

なので、わすれかけていた、あまり目を向けていなかったようなテクニックに久々に目を向けると実はあまり良いフォームでは出来なくなっている、という事もあるあるです。

なので、自分で発声のフォームのチェック項目を作り、定期的に点検しておく事も大切です。

日頃、歌っている曲の曲調に偏りがある場合、(例えばバラードが多い、もしくはアップテンポが多いなど)その対極にあるような曲を歌う事もバランスを取るために大切です。

歌っている音域に偏りがある場合も、時には本来自分のキーでない音域を遊び感覚で触ってみるのも刺激になります。

そういったトレーニングで声の柔軟性を保ってあげる事が、本来歌いたい曲に役立ちます。

日頃から声の出し方に偏りが出てこないようにもしてあげることが、自由な声を維持していくポイントになります。

練習する時は、練習の目的をハッキリさせておくと、声の疲労を少なく、発声を崩さずに取り組めます。

発声を良くするのか、音程なのか、リズムなのか、表現なのか…

そして、心を落ち着かせ、短い時間でも練習に没頭できる環境にしていく事も大切です。

効率の良い練習で、声にとっても身体にとっても、メンタルにとっても充実した楽しい練習を積み重ねて行きたいですね。

ボイストレーナー JUN

声に何度も泣かされた過去を持ち
生徒と心から歌う喜びを共有する日々

大手の音楽教室で講師経験後に独立。
入会率と継続率の高い優秀講師としてレッスン手法をセミナーで紹介される。
中学・高校の音楽科教員の経験からレッスンのわかりやすさというところでの評価を受けている。
これまでに、現役シンガー、ボイストレーナー、音大生(音大入試)、オーディション対策など、数多くの人数を指導。また企業からの依頼を受けアーティスト育成も行っている。

レッスンしてきたことのあるジャンル:
J-POP・洋楽・PopRock・ミュージカル・
Classic・民謡(発声指導のみ)

東京都言語聴覚士会準会員・中学高等学校音楽科一種免許保有
修了講義:”Belting &Effect” ”Motor Lerning Theory in Vocaltraning” “Classical Singing” “Collaborative work with Vocal coach and SLP”

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