ワンランク上のパフォーマンス目指したい人必見。良い姿勢で歌う事の意外な理由。

ボイストレーナーのJUNです。

今回は歌う時の立ち方について書いてみたいと思います。

ラメーン屋さんで大人しく並べる日本人

よく小学校や中学校の音楽の授業で歌う時なんかに、『背筋のばして』『手は横に』『足は肩幅』なんて言われた経験のある人も多いと思います。

私なんかは『良い姿勢』と聞くと反射的に脇はしめて、身じろぎもせずに立つというイメージがあります。

でもこれ、歌いにくくないですか?

これでは、『良い姿勢』イコール『良い声が出る姿勢』とはなっていないといえます。

むしろ、歌いにくいし、おそらく『良い姿勢』イコール『お行儀良く』も含まれていたのではと思います。

あくまで個人的な推察です。

ですから、そもそも学校の合唱なんかで背筋をピンと伸ばして真っ直ぐ立って歌うという指導にも疑問はあります。

もちろん、それには正しい面はあると思います。

しかし、校内の合唱コンクールなんかでは、軍隊式に一糸乱れぬ入退場をする事もよくあります。

日本人が行列の出来るラーメン屋できちんと並べるのは、こういった教育の賜物と思いますが、歌う上では、あまり良くないですね。

直立不動で歌うのは難しい

私は直立不動といえば東海林太郎のイメージが強いのですが(私はそんな世代ではないですが興味がある人は検索してみてください笑)

歌う時というか、恐らくスポーツの多くの競技もそうだと思いますが、身体の筋肉は柔軟性を持っているほうがパフォーマンスは高いと思います。

歌う時の姿勢も例えばR&Bの歌手が肩を動かしたり手の身振りでリズムを取ったりして動いているのは、声の柔軟性を保つ上では自然な事であると言えます。

何故なら肩や手の動きが舌骨を安定させるのに役立ってる可能性が考えられるからです。

つまり、指先と肩が舌骨と関係しているからです。

指先と舌骨

試しに、左腕を軽く曲がったまま胸の前辺りに伸ばして手のひらを身体の側に向けます。

そして、右手の人差し指を左手の手のひらに押し当て歌ってみてください。

そこから、さらに指を押したままうなじを後ろに向かって引きながら歌ってみてください。

どうですか。安定感増しませんか。

これは指先と肩が舌骨と関係している証拠であり、歌手が指先や肩でリズムをとりながらリラックスして動かしているのは、舌骨周辺の柔軟性を高める事にひと役買ってる可能性もあります。

少なくとも直立不動は身体の柔軟性を損ない、舌骨周辺の自由な可動を妨げる事から、安定した声で歌う上であまり良い事はないといえます。

悪い姿勢の問題点

悪い姿勢とは、猫背の事を指したり、アゴが出てる状態なんかを指すと思います。

そもそも、歌うとき身体の中で最も大切にしなくてはならないのは喉ですよね。

この喉はやはり柔軟性を保っていたいのです。

この柔軟性を保つための鍵になるのが、舌骨です。

舌骨は、四方に向かって走っている筋肉によって吊られるようにして浮いています。

4方向は、アゴ、頭蓋骨、肩甲骨、胸骨(鎖骨)です。

この4箇所が張れていないと舌骨は不安定になり、声帯の安定感を悪くします。

この事から、いわゆる猫背やアゴが出過ぎた状態は、舌骨の安定を欠き、声の不安定を招くため良くないと考えます。

姿勢と舌骨の関係

舌骨を吊る筋肉の4方向の安定は、やはり姿勢で作るという事になります。

つまり、胸を張ると言っても、舌骨から鎖骨に向かって張る意識、舌骨から肩甲骨に向かって張る意識が大切です。

鎖骨に向かって張るのは、イメージするだけでも充分に効果があります。

肩甲骨は、ただ寄せるように腕を後ろに引くのではなく、肋骨についている小胸筋という筋肉が肩甲骨と繋がっているため、肩を一度上げてから後ろに引いて降ろすという順序で行うと、舌骨から肩甲骨への張りが機能します。

目指すは良い姿勢ではなく舌骨姿勢

また、舌骨から頭蓋骨に向かって張るためにうなじを伸ばす感覚をもちます。

その状態から舌骨からアゴを張る時にしゃくれない範囲で張るイメージ、或いは舌骨から水平に筋肉が伸びている意識を持ちます。

これで、4方向の張りをつくる事が出来ると、声は格段に安定感を増します。

4方向の張りで舌骨をフリーにしてあげる

舌骨から4方向の張りを意識すると、舌に過度な力みが入ってる場合は、それが解消される可能性があります。

4方向のどれかの張りが悪いと過程して修正して上げる事がポイントです。

肩甲骨剥がしは舌骨安定に効果大

直立不動は声に良くない、舌骨に良くないと書いてますが、脇を閉めた状態で腕を真っ直ぐにするのも、脇の内側の筋肉が肩甲骨と繋がっていて、その動きに制限をかけるのも舌骨の不安定要因になります。

なので、脇も少し開けて緩めておいてあげる事が大切です。

肩甲骨を動かす練習が舌骨の安定に効果を発揮しますが、肩甲骨は肩を動かすと動きます。

肩を上に向かって上げる、後ろから前、前から後ろ、あらゆる方向に動かしてあげます。

肩を回す時は、左右ズラして、回すほどに大きく動かしていくようにします。

回しながら脇腹まで伸ばすイメージです。

肩を回しながら歌ってみるのも良いと思います。

いかがでしたか。

歌にとっての『姿勢を良くする』は舌骨を安定するための姿勢と捉えて良いと思います。

そして、筋肉はしなやかさを持ってあげると、舌骨そのものが柔軟性をもって動いてくれるので、声の引っ掛かりが無くなると思います。

表現力もあって声も良い、という人こそ、ワンランク上の歌唱力のためにチェックしておきたいポイントです。

ぜひ試してみてください。

ボイストレーナー JUN

声に何度も泣かされた過去を持ち
生徒と心から歌う喜びを共有する日々

大手の音楽教室で講師経験後に独立。
入会率と継続率の高い優秀講師としてレッスン手法をセミナーで紹介される。
中学・高校の音楽科教員の経験からレッスンのわかりやすさというところでの評価を受けている。
これまでに、現役シンガー、ボイストレーナー、音大生(音大入試)、オーディション対策など、数多くの人数を指導。また企業からの依頼を受けアーティスト育成も行っている。

レッスンしてきたことのあるジャンル:
J-POP・洋楽・PopRock・ミュージカル・
Classic・民謡(発声指導のみ)

東京都言語聴覚士会準会員・中学高等学校音楽科一種免許保有
修了講義:”Belting &Effect” ”Motor Lerning Theory in Vocaltraning” “Classical Singing” “Collaborative work with Vocal coach and SLP”

関連記事

PAGE TOP