ボイストレーナーのJUNです。
今回は歌を上達させたいと色々と試していくうちに、なんだかよくわからなくなった、という方に向けて、特に発声について役に立ちそうな事を書いて行きたいと思います。
自分1人でも出来ることを紹介していきますので、ぜひ参考にして頂けたらと思います。
目次
あるある〜声の多重人格
自分の声が多重人格のように(笑)
色んな声があってどれが自分の声かわからなくなった
という方の声を当スクールでは一回のレッスンでほぼ探り出すことが可能です。
というのもあなたらしい本来の声を発見することが得意だからです。
もちろん一回のボイトレで全て治るというより(治ることもありますが)
『ああ、これが本来の自分の声ね』
というのは掴めます。
本来の声はその人の一番魅力的な声でもあります。
つまり自分の良いところを活かした声です。
ということで、
あなたらしさを大切にしている当スクールならではの、
実際のレッスンでも取り組んでいることの中かから
どういうプロセスを踏んだら良いかをいくつか紹介してみたいと思います。
声の迷子
例えば、ある曲、どこかのワンフレーズがどうしても歌えないっていう事をきっかけに、色々な事を試しているうちに、全体的によくわからない声の出し方になってしまい、元に戻せなくなって、絶望感や無力感に(ちょっと大袈裟でしょうか…でも本人にとっては切実ですよね。)といった経験のある人は、いるのではないでしょうか。
もう、自分の声が完全なる迷子の状態ですね。
ここまでくると、一旦、整理する必要があります。
複雑にこんがらがった声と思考をシンプルにします。
迷子も悪いことばかりではない
そもそも、私は一人で練習してると、よく迷子になってました。
より良くしたいとハードル上げると、特に迷子になりやすい。
自分の声がわからなくなる。
でも、私の場合は、声の迷子から解決を導き出す過程が学びで、それがそのままトレーナーとしてのスキルになってきました。(無駄に思える事も人生のコンテンツにするんです笑)
チャレンジをする時は多少の迷子は想定の範囲内です。
だってチャレンジだから。
シンガーは、上手く行ってる時は問題ないですが、歌い続けていれば些細な事がきっかけで不調になる事はあります。
そんな時に自身である程度は調整出来るスキルを持っておくという意味で、迷子の経験も必ずしも無駄な時間ではないかもしれないです。
人それぞれ、不調には傾向があります。
自分の傾向を知るとボイトレで調整してもらう時間がないときの対策になります。
ライブ前の迷子に注意
ただ、ライブ直前に今までやった事ない歌い方をチャレンジをするのは…
本番当日を迷子のまま迎えるリスクを自ら作るようなものなので、やめておいた方がいいです。
シンプルにすること
思考をシンプルに整理するといって、その事を考え出したら、ちっともシンプルにはなりませんね。
そう、
考えるのをやめる。
これ、迷子になった時の特効薬になる可能性あります。
そのこと、ちょっと詳しく書いていきますね。
かまえをとること
声を出す瞬間に、どうやって声を出そうとか、正しいフォームに気をつけて、と考えた時点で、身体は歌うぞと身構えます。
これが諸悪の根源です。
それの何が悪いの?と思った人は要注意かもしれません。
例えばご飯を食べるたびに箸の持ち方を確認する人はいませんよね。
自転車に乗る時に毎回乗り方を確認する人なんていないですよね。
同じように、歌うときも、
いつでも歌い出せる
という感覚は声を自由にしてくれます。
箸で自由にご飯を食べられるように、自転車で自由に目的地に辿り着けるように
無意識に声が出るという状態でないと自由に表現をするということからは遠くなってしまいます。
こういったイメージの変化だけでも歌いやすさは格段に変わります。
イントロが流れて歌う場面に差し掛かる時にどんなことを考えていますか?
もし、声がしっかり出るだろうか、ということを考えているとしたら、
試しにその曲のノリに身体を合わせてノって歌うことに意識を変えてみてください。
きっと面白いことが起こると思います。
確認しながら歌うのは良くない!?
これも、かまえる事とほぼ同じですが、自分の声を確認しながら歌うことも不具合の原因になります。
確認しながら歌っている時点で、過ぎ去った過去の事を考えながら歌っているので、心と身体はバラバラです。
ボイトレで発声を良くするために、身体の構造をマッピングしたり、フォームを確認する意識は当然大切ですが、囚われてしまうと、上手くいかなくなったとき、かえってそれが足かせになります。
声を聞くな
また、自分に聴こえる声を聴いて安心したくて、思ったより必要のない所に力が加わっている場合もあります。
聴いちゃいけないってこと?って思うかもしれませんが、過ぎ去った過去を確認するように聴く事が声の自由を奪う可能性があるというのがポイントです。
20世紀を代表するイタリアのソプラノ歌手として知られるミレッラ•フレーニ氏が晩年、歌を勉強している若い学生に対して『声を聞くな!』と言っていたのは、至言だと思います。
その証拠といったらなんですが、大概こういう場合は、音楽にものれてないと思います。
立ち帰れる曲を持っておくこと
自分の声が迷子になった時のために、迷子になる前の感覚を思い出せるような、ウォーミングアップ代わりにもなれる、いつでも歌える曲を幾つか持っておくのはおすすめです。
自分の声の良さを発揮出来て、歌いやすい曲です。
一曲では偏りがあるので、例えばアップテンポの曲とスローテンポの曲など、違うタイプを幾つか持っておくと良いです。
そういう曲があると、いまの自分の声の状態がわかります。
上達した実感を感じる事もあれば、不具合の原因をみつけたり、本来の自分の持ち味を思い出したり出来ます。
そういった声を調整できる曲があると、発声練習では悪くないけど、歌うと上手くいかない時の救いになります。
そして発声練習も実はフォームが崩れてた、なんて事に気づけたりします。
そうなると、発声練習とはなんぞや、っていう恐ろしい問題にもなりますが…
歌う事は服を脱ぐ事と似てる
発声トレーニングは、ある意味で型を作るように感じるかもしれません。
そして、誰かに歌を聴かせるなら、良い歌を、完璧に聴かせたいと思います。
残念なことに、そう思う事で上手く行く人と、本来の自分の声を隠そうとする心理が働く人にわかれます。
本来の自分を隠そうとする人は、まるで洋服のボタンを1番上までとめて、身体を衣服で完全に覆うように、自分を装おうようになります。
恥じらいと慎み深さを持つ私たち日本人のサガですかね…
でも、それが悪いわけではありません。
ただ、歌う上ではネックになるかもしれません。
でもです。
オリジナリティ溢れるあなただけの唯一無二の魅力的な声は、ありのままをさらけ出した時にあらわれます。
ダメならダメでも、ちょっと上手くいかなくても、まぁいいじゃない。
人間だもの
そうやって、服を脱ぐように、自分の歌う事に対する恥ずかしいとこもさらけ出しちゃうといったマインドは声を自由にしてくれる一歩、迷子脱却の助けになります。
ライブなんかのパフォーマンスで自身が理想とするハードルを少し低めに設定するような、自分で自分をゆるすような心持ちも大切です。
それは、適当にやるという事ともちょっと違います。
意外とその方が上手くいったりします。
何故なら身構えなくなるので。
喋り声から自分らしい歌声を見つける
ここまでの話しは、ちょっと精神論のような印象かもしれませんが、ここに繋がります。
かまえをなくして歌うって、ちょっと極端かも知れませんが、要は喋り声の延長でなんとなく鼻歌を歌ってる時の感覚とも重なると思います。
鼻歌をかまえて歌ってたら重症です。
そうするとですよ。
いつもの歌声が喋り声の音色からかけ離れている人は本来の自分の声ではない可能性がわかります。
このことは、自分の声を取り戻すための大切な指標になります。
敢えて意図的に本来の自分とは違う声の音色を選択する場合もあるかもしれません。
しかし、それは声の不調のリスクと隣り合わせだという事を意味します。
自分の喋る時の声を基準にする事は、歌う時の様々な問題を解決してくれる助けとなります。
喋り声と曲のサビは音域が違うじゃないかと。
確かにそうです。
では、歌う時と話す時の喉の筋肉は使用してる場所は違うでしょうか。
同じなのです。
何か違う歌用の表現の喉を使ってなどと思って出す声は、聴いてる人に奇妙な声、もしくは作り声、カッコつけてる、と言った印象を与えるだけです。
始めは少しキーを下げても良いと思うので、曲の歌詞を少し喋るように読みながら、実際の音域に少しずつ近づけるような練習はとても効果的です。
その時、喋ってる時の母音の位置が高さによって変わらない事が鍵です。
これ、本当に大切です。
これを読んでさらに迷子になりそうな人へ
ここまで読んで役に立つヒントがあると嬉しいですが、それでも迷子は解決しなそうな場合は、やはり客観的に声を聴いてもらうことも一つです。
周りのお友達に聴いてもらうのも良いですが、改善まで結びつけるには、ボイトレが早いです。
当スクールでは歌い方がわからなくなったということに関してはほぼほぼ一回で解決することが結構あります。
1回だけという方も遠慮なくお問い合わせくださいね。
いつでもお待ちしています。